労働災害SOS|みらい総合法律事務所

自賠責支払基準

最終更新日 2011年 01月07日
監修者:弁護士法人みらい総合法律事務所 代表社員 弁護士 谷原誠

総則

  1. 自動車損害賠償責任保険の保険金等の支払は、自動車損害賠償保障法施行令(昭和30年政令第286号)第2条並びに別表第1及び別表第2に定める保険金額を限度としてこの基準によるものとする。
  2. 保険金額は、死亡した者又は傷害を受けた者1人につき、自動車損害賠償保障法施行令第2条並びに別表第1及び別表第2に定める額とする。
    ただし、複数の自動車による事故について保険金等を支払う場合は、それぞれの保険契約に係る保険金額を合算した額を限度とする。

傷害による損害

傷害による損害は、積極損害(治療関係費、文書料その他の費用)、休業損害及び慰謝料とする。

    積極損害

    (1) 治療関係費
    ①応急手当費
    応急手当に直接かかる必要かつ妥当な実費とする。

    ②診察料
    初診料、 再診料又は往診料にかかる必要かつ妥当な実費とする。

    ③入院料
    入院料は、原則としてその地域における普通病室への入院に必要かつ妥当な実費とする。
    ただし、被害者の傷害の態様等から医師が必要と認めた場合は、上記以外の病室への入院に必要かつ妥当な実費とする。

    ④投薬料、手術料、 処置料等
    治療のために必要かつ妥当な実費とする。

    ⑤通院費、転院費、 入院費又は退院費
    通院、転院、 入院又は退院に要する交通費として必要かつ妥当な実費とする。

    ⑥看護料
    ア.入院中の看護料
       原則として12歳以下の子供に近親者等が付き添った場合に1日につき4,100円とする。
    イ.自宅看護料又は通院看護料
       医師が看護の必要性を認めた場合に次のとおりとする。
       ただし、12歳以下の子供の通院等に近親者等が付き添った場合には医師の証明は要しない。
      (ア)厚生労働大臣の許可を受けた有料職業紹介所の紹介による者
         立証資料等により必要かつ妥当な実費とする。
      (イ)近親者等
         1日につき2,050円とする。
    ウ.近親者等に休業損害が発生し、立証資料等により、ア又はイ(イ)の額を超えることが明らかな場合は、必要かつ妥当な実費とする。

    ⑦諸雑費
    療養に直接必要のある諸物品の購入費又は使用料、医師の指示により摂取した栄養物の購入費、通信費等とし、次のとおりとする。
    ア.入院中の諸雑費
       入院1日につき1,100円とする。
       立証資料等により1日につき1,100円を超えることが明らかな場合は、必要かつ妥当な実費とする。
    イ.通院又は自宅療養中の諸雑費
       必要かつ妥当な実費とする。

    ⑧柔道整復等の費用
    免許を有する柔道整復師、あんま・マッサージ・指圧師、はり師、きゅう師が行う施術費用は、必要かつ妥当な実費とする。

    ⑨義肢等の費用
    ア.傷害を被った結果、医師が身体の機能を補完するために必要と認めた義肢、歯科補てつ、義眼、
       眼鏡(コンタクトレンズを含む。)、補聴器、松葉杖等の用具の製作等に必要かつ妥当な実費とする。
    イ.アに掲げる用具を使用していた者が、傷害に伴い当該用具の修繕又は再調達を必要とするに
       至った場合は、必要かつ妥当な実費とする。
    ウ.ア及びイの場合の眼鏡(コンタクトレンズを含む。)の費用については、50,000円を限度とする。

    ⑩診断書等の費用
    診断書、診療報酬明細書等の発行に必要かつ妥当な実費とする。

    (2)文書料
    交通事故証明書、被害者側の印鑑証明書、住民票等の発行に必要かつ妥当な実費とする。

    (3) その他の費用
    (1)治療関係費及び(2)文書料以外の損害であって事故発生場所から医療機関まで被害者を搬送するための費用等については、 必要かつ妥当な実費とする。

    休業損害

    (1)休業損害は、休業による収入の減少があった場合又は有給休暇を使用した場合に1日につき原則として5,700円とする。
    ただし、家事従事者については、 休業による収入の減少があったものとみなす。
    (2)休業損害の対象となる日数は、実休業日数を基準とし、被害者の傷害の態様、実治療日数その他を勘案して治療期間の範囲内とする。
    (3)立証資料等により1日につき5,700円を超えることが明らかな場合は、 自動車損害賠償保障法施行令第3条の2に定める金額を限度として、その実額とする。

    慰謝料

    (1)慰謝料は、1日につき4,200円とする。
    (2)慰謝料の対象となる日数は、被害者の傷害の様態、実治療日数その他を勘案して、治療期間の範囲内とする。
    (3)妊婦が胎児を死産又は流産した場合は、上記のほかに慰謝料を認める。

後遺障害による損害

後遺障害による損害は、逸失利益及び慰謝料等とし、自動車損害賠償保障法施行令第2条並びに別表第1及び別表第2に定める等級に該当する場合に認める。
等級の認定は、原則として労働者災害補償保険における傷害の等級認定の基準に準じて行う。

    逸失利益

    逸失利益は、次のそれぞれに掲げる年間収入額又は年相当額に該当等級の労働能力喪失率と後遺障害確定時の年齢における就労可能年数のライプニッツ係数を乗じて算出した額とする。
    ただし、生涯を通じて全年齢平均給与額の年相当額を得られる蓋然性が認められない場合は、この限りでない。

    (1)有職者
    事故前1年間の収入額と後遺障害確定時の年齢に対応する年齢別平均給与額の年相当額のいずれか高い額を収入源とする。
    ただし、次の者については、それぞれに掲げる額を収入額とする。

    ①35歳未満であって事故前1年間の収入額を立証することが可能な者
    事故前1年間の収入額、全年齢平均給与額の年相当額及び年齢別平均給与額の年相当額のいずれか高い額。

    ②事故前1年間の収入額を立証することが困難な者
    ア.35歳未満の者
       全年齢平均給与額の年相当額又は年齢別平均給与額の年相当額のいずれか高い額。
    イ.35歳以上の者
       年齢別平均給与額の年相当額。

    ③退職後1年を経過していない失業者(定年退職者等を除く)
    以上の基準を準用する。この場合において、「事故前1年間の収入額」とあるのは、「退職前1年間の収入額」と読み替えるものとする。

    (2)幼児・児童・生徒・学生・家事従事者
    全年齢平均給与額の年相当額とする。
    ただし、58歳以上の者で年齢別平均給与額が全年齢平均給与額を下回る場合は、 年齢別平均給与額の年相当額とする。

    (3)その他働く意思と能力を有する者
    年齢別平均給与額の年相当額とする。
    ただし、全年齢平均給与額の年相当額を上限とする。

    慰謝料等

    (1)後遺障害に対する慰謝料等の額は、該当等級ごとに次に掲げる表の金額とする。
    ①自動車損害賠償保障法施行令別表第1の場合
    第1級 第2級
    1,600万円 1,163万円

    ②自動車損害賠償保障法施行令別表第2の場合
    第1級 第2級 第3級
    1,600万円 1,163万円 829万円
    第4級 第5級 第6級
    712万円 599万円 498万円
    第7級 第8級 第9級
    409万円 324万円 245万円
    第10級 第11級 第12級
    187万円 135万円 93万円
    第13級 第14級  
    57万円 32万円  

    (2)
    ①自動車損害賠償保障法施行令別表第1の該当者であって被扶養者がいるときは、第1級については1,800万円とし、第2級については、1,333万円とする。
    ②自動車損害賠償保障法施行令別表第2第1級、第2級又は第3級の該当者であって被扶養者がいるときは、第1級については1,300万円とし、第2級については、1,128万円とし、第3級については973万円とする。

    (3)自動車損害賠償保障法施行令別表第1に該当する場合は、初期費用等として、第1級には500万円を、第2級には205万円を加算する。

死亡による損害

死亡による損害は、葬儀費、逸失利益、死亡本人の慰謝料及び遺族の慰謝料とする。
後遺障害による損害に対する保険金等の支払の後、被害者が死亡した場合の死亡による損害について、事故と死亡との間に因果関係が認められるときには、その差額を認める。

    葬儀費

    (1)葬儀費は、60万円とする。
    (2)立証資料等により60万円を超えることが明らかな場合は、100万円の範囲内で必要かつ妥当な実費とする。

    逸失利益

    (1)逸失利益は、次のそれぞれに掲げる年間収入額又は年相当額から本人の生活費を控除した額に死亡時の年齢における就労可能年数のライプニッツ係数を乗じて算出する。
    ただし、生涯を通じて全年齢平均給与額の年相当額を得られる蓋然性が認められない場合は、この限りではない。

    ①有職者
    事故前1年間の収入額と死亡時の年齢に対応する年齢別平均給与額の年相当額のいずれか高い額を収入額とする。
    ただし、次に掲げる者については、それぞれに掲げる額を収入額とする。
    ア.35歳未満であって事故前1年間の収入額を立証することが可能な者
       事故前1年間の収入額、全年齢平均給与額の年相当額及び年齢別平均給与額の年相当額の
       いずれか高い額。
    イ.事故前1年間の収入額を立証することが困難な者
       (ア)35歳未満の者
          全年齢平均給与額の年相当額又は年齢別平均給与額の年相当額のいずれか高い額。
       (イ)35歳以上の者
          年齢別平均給与額の年相当額。
    ウ.退職後1年間を経過していない失業者(定年退職者等を除く。)
    以上の基準を準用する。この場合において、「事故前1年間の収入額」とあるのは、「退職前1年間の収入額」と読み替えるものとする。

    ②幼児・児童・生徒・学生・家事従事者
    全年齢平均給与額の年相当額とする。
    ただし、58歳以上の者で年齢別平均給与額が全年齢平均給与額を下回る場合は、 年齢別平均給与額の年相当額とする。

    ③その他働く意思と能力を有する者
    年齢別平均給与額の年相当額とする。
    ただし、全年齢平均給与額の年相当額を上限とする。

    (2)(1)にかかわらず、年金等の受給者の逸失利益は、 次のそれぞれに掲げる年間収入額又は年相当額から本人の生活費を控除した額に死亡時の年齢における就労可能年数のライプニッツ係数を乗じて得られた額と、 年金等から本人の生活費を控除した額に死亡時の年齢における平均余命年数のライプニッツ係数から死亡時の年齢における就労可能年数のライプニッツ係数を差し引いた係数を乗じて得られた額とを合算して得られた額とする。
    ただし、生涯を通じて全年齢平均給与額の年相当額を得られる蓋然性が認められない場合は、この限りではない。
    年金等の受給者とは、各種年金及び恩給制度のうち原則として受給権本人による拠出性のある年金等を現に受給していた者とし、無拠出性の福祉年金や遺族年金は含まない。

    ①有職者
    事故前1年間の収入額と年金等の額を合算した額と、死亡時の年齢に対応する年齢別平均給与額の年相当額のいずれか高い額とする。
    ただし、35歳未満の者については、これらの比較のほか、 全年齢平均給与額の年相当額とも比較して、いずれか高い額とする。

    ②幼児・児童・生徒・学生・家事従事者
    年金等の額と全年齢平均給与額の年相当額のいずれか高い額とする。
    ただし、58歳以上の者で年齢別平均給与額が全年齢平均給与額を下回る場合は、 年齢別平均給与額の年相当額と年金等の額のいずれか高い額とする。

    ③その他働く意思と能力を有する者

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