機械への巻き込まれ、挟まれた労災事故の損害賠償請求
最終更新日 2024年 02月20日
監修者:弁護士法人みらい総合法律事務所 代表社員 弁護士 谷原誠
監修者:弁護士法人みらい総合法律事務所 代表社員 弁護士 谷原誠
労働現場で起こる「はさまれ・巻き込まれ事故」は、毎年1万人以上の死傷者を出しています(厚生労働省『労働災害発生状況』より)。
万一の時は、重傷以上の損害はどうしても避けられず、労災申請及び損害賠償請求でしっかりと補償を受けることが大切です。
本記事では、被災労働者及び家族の対応のヒントとなるよう、はさまれ・巻き込まれ事故の原因や補償につき、初動で役立つ下記の基礎知識を紹介しています。
建設業や製造業の現場で止むことなく起きており、後遺障害が避けられない重傷や死亡に繋がりがちです。
はさまれ・巻き込まれリスクのある機械を導入する事業者は、事故が発生しないよう十分に対策し、万一の時は労働災害として対処しなくてはなりません。
また、機械と別の設備との間に作業者が入り込むような形で労災事故にいたるようなケースも考えられます。
このような事故は、安全装置が不十分だったり、作業手順が守られなかったり、作業者が疲れたり注意力が散漫になったりすることで起こります。
実施しなかったことが原因で搭載事故が発生した、行為者・法人共に刑事事件として6月以下の懲役または50万円以下の罰金に処され、損害賠償請求の根拠となる民事責任も負います。
具体的な対策の方法については、扱う機械や現場ごとに、規則・省令及び指針で示されます。
過労や職場環境が間接的な事故原因になる場合もあるため、次のような義務も課されています(労働安全衛生法第23条~第25条の2)。
※建設業その他の政令で定める業種のみ。各号措置につき技術的事項を管理する者を選任し、管理させる義務も負います(違反した場合、現場監督者等の行為者及び法人は50万円以下の罰金)。
使用者(会社)の責任を問うて損害賠償請求する時は、具体的状況を下記のようなルールに当てはめて検証し、違反があれば証拠として持っておく必要があります。
給付にあたっては、労災申請して業務災害の要件を満たすことが前提です。
なお、治療及び後遺障害の状況により、一時金または年金で障害給付や遺族給付等も受け取れます。
被災者の精神的苦痛に対する慰謝料、休業損害の不足分、入院雑費等、労災保険ではカバーしきれない部分を会社に支払わせることが目的です。
損害賠償請求の際は、事故発生原因から、次のような法的責任があると主張・立証しなければなりません。
後遺障害や死亡があった場合、労災保険給付が支給されることがあります。
また、慰謝料や逸失利益は、使用者(会社)に対して請求ができる場合があります。
▼第1級~第7級の場合
※支給要件:療養開始後1年6か月を経過した日またはその日以降、その負傷または疾病が治っておらず、傷病等級表の第1級~第3級に該当する場合
▼第8級~第14級の場合
その他にも、葬祭給付や、社会復帰促進等事業より労災就学等援護費・長期家族介護者援護金等の給付があります。
遺族補償にかかる給付額及び給付の例は次の通りです。
※遺族が55歳以上または一定の障害状態にある妻の場合、遺族補償等年金として給付基礎日額175日分+遺族特別年金として算定基礎日額175日分にアップ
▼後遺障害慰謝料及び労働能力喪失率の目安
▼死亡慰謝料の目安
また、多くは後遺障害以上の結果に至る点で、十分な労災保険給付を得るための手続きが複雑化します。これらの点を踏まえて、万一の時は次のポイントに注意しましょう。
そこで、早い段階で情報開示を請求しながら事故状況や原因を調べ、以下のような問題がなかったかチェックし、証拠があれば確保しておく必要があります。
高額請求を恐れる会社に不誠実な態度を取られてしまったり、労災保険制度で認定される障害等級が適正でなかったりするのが原因です。
上記のような失敗を避けるため、個別・具体的な対処は、労働トラブルや災害に詳しい弁護士に相談しましょう。
労災申請のための受診アドバイス、事故の原因や証拠の収集、会社との交渉など、補償を十分に獲得するための必要な対応を任せられます。
労災保険を受け取るための手続きや事故状況の検証、情報の開示請求、示談交渉や労働訴訟の対応は、弁護士に任せられます。
万一の時は、使用者(会社)の責任の有無を含め、今後どうすべきか速やかに弁護士に相談することをおすすめします。
万一の時は、重傷以上の損害はどうしても避けられず、労災申請及び損害賠償請求でしっかりと補償を受けることが大切です。
本記事では、被災労働者及び家族の対応のヒントとなるよう、はさまれ・巻き込まれ事故の原因や補償につき、初動で役立つ下記の基礎知識を紹介しています。
- ● はさまれ・巻き込まれ事故の事例及び原因
- ● はさまれ・巻き込まれ事故の補償の仕組みと金額
- ● 労災事故発生時に補償を受ける時のポイント
目次
はさまれ・巻き込まれ労災事故とは
はさまれ・巻き込まれ事故とは、業務で使用される機械が正しく使用されず、作業者がはさまれたり巻き込まれたりして負傷する事故を指します。建設業や製造業の現場で止むことなく起きており、後遺障害が避けられない重傷や死亡に繋がりがちです。
はさまれ・巻き込まれリスクのある機械を導入する事業者は、事故が発生しないよう十分に対策し、万一の時は労働災害として対処しなくてはなりません。
事故の発生原因と事例
はさまれ・巻き込まれ事故を引き起こす機械として、単体ではベルトコンベアやプレス機械が挙げられます。また、機械と別の設備との間に作業者が入り込むような形で労災事故にいたるようなケースも考えられます。
このような事故は、安全装置が不十分だったり、作業手順が守られなかったり、作業者が疲れたり注意力が散漫になったりすることで起こります。
▼建設業の労災事例
● 高所作業車での作業中、作業者が誤って鉄骨梁と作業車の手すりの間に胸部をはさまれる。勾配変化点で車体前方が下がり、その反動でバケットが上昇したことが原因。被災者は片手でネットを持ちながら、走行方向に背を向けて操作していた。
● 建設現場、舗装作業の補助者がオペレーターに合図なしで侵入。後進してきた4トン振動ローラーの後輪に巻き込まれる。
● 高所作業車での作業中、作業者が誤って鉄骨梁と作業車の手すりの間に胸部をはさまれる。勾配変化点で車体前方が下がり、その反動でバケットが上昇したことが原因。被災者は片手でネットを持ちながら、走行方向に背を向けて操作していた。
● 建設現場、舗装作業の補助者がオペレーターに合図なしで侵入。後進してきた4トン振動ローラーの後輪に巻き込まれる。
▼製造業の事例
● 工場内において、施盤製作部品を加工するため、回転する部品に紙ヤスリを当てていたところ、左手が巻き込まれる。被災者が着用していた軍手が先に巻き込まれ、そのまま外れなかった。
● 麺類の生地製造を行っている事業場で、ミキサーで練る作業中、周囲に付着した粉をハケで払い落とそうとして、作業者がミキサー内に誤って転落。羽根に巻き込まれる。
● 工場内において、施盤製作部品を加工するため、回転する部品に紙ヤスリを当てていたところ、左手が巻き込まれる。被災者が着用していた軍手が先に巻き込まれ、そのまま外れなかった。
● 麺類の生地製造を行っている事業場で、ミキサーで練る作業中、周囲に付着した粉をハケで払い落とそうとして、作業者がミキサー内に誤って転落。羽根に巻き込まれる。
参考情報:労働災害事例シート(労働新聞社)
使用者に求められる安全対策
はさまれ・巻き込まれ事故等のリスクを帯びる作業は、事業者に危険防止措置等の安全対策義務が課せられています。実施しなかったことが原因で搭載事故が発生した、行為者・法人共に刑事事件として6月以下の懲役または50万円以下の罰金に処され、損害賠償請求の根拠となる民事責任も負います。
危険防止措置義務とは
危険防止措置義務とは、労働安全衛生法第20条・第21条で指定された下記の危険を防止するため、必要な防止措置を取る義務を指します。具体的な対策の方法については、扱う機械や現場ごとに、規則・省令及び指針で示されます。
- ・機械、器具その他の設備による危険
- ・爆発性の物、発火性の物、引火性の物等による危険
- ・電気、熱その他のエネルギーによる危険
- ・掘削、採石、荷役、伐木等の業務における作業方法から生ずる危険
- ・労働者が墜落するおそれのある場所、土砂等が崩壊するおそれのある場所等に係る危険
危険防止措置以外に課せられる安全対策
事業者が取るべき対応は、危険防止措置義務の履行だけではありません。過労や職場環境が間接的な事故原因になる場合もあるため、次のような義務も課されています(労働安全衛生法第23条~第25条の2)。
- ・作業場について、健康・風紀・労働者の生命の保持のための必要な措置
- ・作業行動について、生ずる労働災害を防止するため必要な措置を講じる義務
- ・労働災害発生の急迫の危険がある時、必要な措置(作業中止・退避)を講じる義務
- ・救護措置に備えて、あらかじめ必要とされる設備の備付や訓練を行う義務※
※建設業その他の政令で定める業種のみ。各号措置につき技術的事項を管理する者を選任し、管理させる義務も負います(違反した場合、現場監督者等の行為者及び法人は50万円以下の罰金)。
使用者に課せられた危険防止措置の例
はさまれ・巻き込まれリスクについて具体的に取るべき危険措置の一例を挙げてみると、下記のようになります。使用者(会社)の責任を問うて損害賠償請求する時は、具体的状況を下記のようなルールに当てはめて検証し、違反があれば証拠として持っておく必要があります。
▼機械による危険防止の一般基準
- ・原動機・回転軸等は、覆い・囲い・スリーブ・踏切橋等を設ける。
- ・通路または作業箇所の上にあるベルトで、一定のサイズ・速度がある時は、下方に囲いを設ける。
- ・スイッチ・クラッチ等には、動力遮断装置を設ける。
- ・運転開始は一定の合図を定め、合図者を指名する。
- ・掃除は必ず運転してから行う。
▼特定の機械に関する基準
- ・工作機械・・・・・・プレーナー等のテーブルに労働者を乗せない。
- ・食品加工用機械・・・・・・覆い・囲い等を設ける。原材料の取り出し等の前には運転停止する。
- ・プレス機械及びシャー・・・・・・労働者の身体が危険限界に入らないように措置する。作業主任者を選任する。
- ・ロール機器・・・・・・囲いやガイドロール、安全装置等を設ける。
- ・高速回転体・・・・・・専用の堅固な建設物や障壁等の隔離された場所で運転し、あらかじめ非破壊検査を行う。
参考情報:労働安全衛生規則第101条~第151条
はさまれ・巻き込まれ労災事故の補償の仕組
はさまれ・巻き込まれ労災事故を補償してもらおうとする時は、手始めに労災保険制度を利用しましょう。労災申請すれば保険給付がある
職場ではさまれ・巻き込まれ事故に遭って怪我を負った場合、療養給付として治療費の全額、休業給付として休業中の収入の最大8割、看護料等について労災保険給付が得られます。給付にあたっては、労災申請して業務災害の要件を満たすことが前提です。
なお、治療及び後遺障害の状況により、一時金または年金で障害給付や遺族給付等も受け取れます。
安全対策の不備は会社に損害賠償請求できる
はさまれ・巻き込まれ労災事故について会社の責任が問える場合、労災申請と並行して、使用者(会社)に対する損害賠償請求できます。被災者の精神的苦痛に対する慰謝料、休業損害の不足分、入院雑費等、労災保険ではカバーしきれない部分を会社に支払わせることが目的です。
損害賠償請求の際は、事故発生原因から、次のような法的責任があると主張・立証しなければなりません。
▼はさまれ・巻き込まれ事故で会社が負う法的責任の例
- ・不法行為責任(民法第709条)
- ・安全配慮義務違反による債務不履行責任(民法第415条)
- ・使用者責任(民法第715条)、使用者である会社の取締役の第三者に対する責任(会社法429条1項)
はさまれ・巻き込まれ労災事故の補償内容
労災事故による補償内容は、後遺障害や死亡による労災保険給付と、慰謝料や逸失利益の請求があります。後遺障害や死亡があった場合、労災保険給付が支給されることがあります。
また、慰謝料や逸失利益は、使用者(会社)に対して請求ができる場合があります。
後遺障害があるケースの労災保険給付
はさまれ・巻き込まれ事故によって後遺障害が残った場合、労災保険から障害(補償)一時金や障害補償年金、その他に特別支給分が給付されます。給付額及び給付の例は次の通りです。▼第1級~第7級の場合
障害等級 | 年金 | 一時金 |
第1級 | 障害補償等給付:給付基礎日額313日分 障害特別年金:同上 |
障害特別支給金:342万円 傷病補償等年金:給付基礎日額313日分※ 傷病特別年金:算定基礎日額313日分※ 傷病特別支給金:114万円※ |
第2級 | 障害補償等給付:給付基礎日額277日分 障害特別年金:同上 |
障害特別支給金:320万円 傷病補償等年金:給付基礎日額277日分※ 傷病特別年金:算定基礎日額277日分※ 傷病特別支給金:107万円※ |
第3級 | 障害補償等給付:給付基礎日額245日分 障害特別年金:同上 |
障害特別支給金:300万円 傷病補償等年金:給付基礎日額245日分※ 傷病特別年金:給付基礎日額245日分※ 傷病特別支給金:100万円※ |
第4級 | 障害補償等給付:給付基礎日額213日分 障害特別年金:同上 |
障害特別支給金:264万円 |
第5級 | 障害補償等給付:給付基礎日額184日分 障害特別年金:同上 |
障害特別支給金:225万円 |
第6級 | 障害補償等給付:給付基礎日額156日分 障害特別年金:同上 |
障害特別支給金:192万円 |
第7級 | 障害補償等給付:給付基礎日額131日分 障害特別年金:同上 |
障害特別支給金:159万円 |
▼第8級~第14級の場合
障害等級 | 一時金の額 |
第8級 | 障害補償等給付:給付基礎日額503日分 障害特別一時金:算定基礎日額503日分 障害特別支給金:65万円 |
第9級 | 障害補償等給付:給付基礎日額391日分 障害特別一時金:算定基礎日額391日分 障害特別支給金:50万円 |
第10級 | 障害補償等給付:給付基礎日額302日分 障害特別一時金:算定基礎日額302日分 障害特別支給金:39万円 |
第11級 | 障害補償等給付:給付基礎日額223日分 障害特別一時金:算定基礎日額223日分 障害特別支給金:29万円 |
第12級 | 障害補償等給付:給付基礎日額156日分 障害特別一時金:算定基礎日額156日分 障害特別支給金:20万円 |
第13級 | 障害補償等給付:給付基礎日額101日分 障害特別一時金:算定基礎日額101日分 障害特別支給金:14万円 |
第14級 | 障害補償等給付:給付基礎日額56日分 障害特別一時金:算定基礎日額56日分 障害特別支給金:8万円 |
死亡した場合の労災保険給付
はさまれ・巻き込まれ事故によって被災者が死亡した場合、労災保険から遺族補償として一時金や年金が支払われます。その他にも、葬祭給付や、社会復帰促進等事業より労災就学等援護費・長期家族介護者援護金等の給付があります。
遺族補償にかかる給付額及び給付の例は次の通りです。
障害等級 | 年金 | 一時金 |
0人 | ― | 遺族特別支給金:300万円 遺族補償等一時金:給付基礎日額1,000日分 遺族特別一時金:算定基礎日額1,000日分 |
1人 | 遺族補償等年金:給付基礎日額153日分※ 遺族特別年金:算定基礎日額153日分 |
遺族特別支給金:300万円 |
2人 | 遺族補償等年金:給付基礎日額201日分 遺族特別年金:算定基礎日額201日分 |
同上 |
3人 | 遺族補償等年金:給付基礎日額223日分 遺族特別年金:算定基礎日額223日分 |
同上 |
4人以上 | 遺族補償等年金:給付基礎日額245日分 遺族特別年金:算定基礎日額245日分 |
同上 |
会社に請求できる慰謝料・逸失利益の目安
会社に対する損害賠償請求額は、まず損害全体の金額を計算し、被災者の過失・既往症等を考慮した減額を行った後、労災保険給付を控除して求めます。最終的な請求額の中心は、慰謝料及び労災保険の遺族補償ではカバーできない分となります。- ■ 慰謝料とは:入通院、後遺症、死亡によって負った精神的損害(本人分+近親者分)
- ■ 逸失利益とは:後遺障害による労働能力喪失または死亡によって失われた将来分の収入
▼後遺障害慰謝料及び労働能力喪失率の目安
障害等級 | 慰謝料の相場(弁護士基準) | 労働能力喪失率 |
第1級 | 2800万円 | 100% |
第2級 | 2300万円 | 100% |
第3級 | 1990万円 | 100% |
第4級 | 1670万円 | 92% |
第5級 | 1400万円 | 79% |
第6級 | 1180万円 | 67% |
第7級 | 1000万円 | 53% |
第8級 | 830万円 | 45% |
第9級 | 690万円 | 35% |
第10級 | 550万円 | 27% |
第11級 | 420万円 | 20% |
第12級 | 290万円 | 14% |
第13級 | 180万円 | 9% |
第14級 | 110万円 | 5% |
▼死亡慰謝料の目安
被害者の役割 | 慰謝料の目安(弁護士基準) |
一家の支柱 | 2800万円 |
母親、配偶者 | 2500万円 |
その他 | 2000万円~2500万円 |
はさまれ・巻き込まれ事故の補償額シミュレーション
はさまれ・巻き込まれ労災事故で後遺障害以上の損害を負ってしまった時、補償されるべき額は数千万円以上となることがあります。特に金額が大きくなる損害のみ、事故例を2つ想定してシミュレーションしてみると、次のようになります。
【試算1】回転する機械の操作中に右手を巻き込まれ、人差し指及び中指を切断した場合(第9級の後遺障害)
- ・労災保険による給付・・・・・・療養給付(治療費の全額)、障害補償として給付基礎日額391日分+算定基礎日額391日分+50万円の一時金等
- ・後遺障害慰謝料・・・・・・600万円
- ・後遺障害逸失利益・・・・・・事故前の収入の39%×就労可能年数分(中間利息控除あり)
【試算2】坂道で停車するトラックのサイドブレーキのかけ忘れにより後輪に巻き込まれ、死亡した場合(一家の支柱)
- ・労災保険による給付・・・・・・療養給付(治療費の全額)、遺族補償として給付基礎日額201日分+算定基礎日額201日分の年金+一時金として300万円、葬祭給付等
- ・死亡慰謝料・・・・・・2800万円
- ・死亡逸失利益・・・・・・事故前の収入×就労可能年数分(生活費控除及び中間利息控除あり)
はさまれ・巻き込まれ労災事故の対応のポイント
はさまれ・巻き込まれ事故の対応は、会社に対する損害賠償請求の可否や請求額算定が中心となります。また、多くは後遺障害以上の結果に至る点で、十分な労災保険給付を得るための手続きが複雑化します。これらの点を踏まえて、万一の時は次のポイントに注意しましょう。
早期に事故状況や原因を調べる
はさまれ・巻き込まれ等の重大な労災事故では、労働者の不注意や事故当日の体調を理由に「会社に責任はない」「労働者の過失に応じて減額すべき」と主張されがちです。そこで、早い段階で情報開示を請求しながら事故状況や原因を調べ、以下のような問題がなかったかチェックし、証拠があれば確保しておく必要があります。
- • 原因となった設備・機械の点検はきちんと行われていたか
- • 設備・機械の不具合報告や修理、転倒防止等の措置はきちんと行われていたか
- • 設備・機械の扱い方につき、作業者に十分な指導・教育は施されていたか)
- • 過重または長時間労働等、ヒューマンエラーの原因となる労働環境でなかったか
個別・具体的な対処は弁護士に相談する
損害賠償請求の現実として、はさまれ・巻き込まれ事故の責任が使用者(会社)にあることがはっきりしていても、自力で対応すると難航しがちです。高額請求を恐れる会社に不誠実な態度を取られてしまったり、労災保険制度で認定される障害等級が適正でなかったりするのが原因です。
上記のような失敗を避けるため、個別・具体的な対処は、労働トラブルや災害に詳しい弁護士に相談しましょう。
労災申請のための受診アドバイス、事故の原因や証拠の収集、会社との交渉など、補償を十分に獲得するための必要な対応を任せられます。
おわりに│はさまれ・巻き込まれ等の重大事故は専門家へ相談を
はさまれ・巻き込まれ労災事故は、その様態上、後遺障害以上の重大な結果を招きがちです。労災保険による療養給付・障害給付・遺族給付等をしっかりと受け取るだけでなく、危険防止措置等が十分だったかケース別に判断し、損害賠償請求することも検討しなければなりません。労災保険を受け取るための手続きや事故状況の検証、情報の開示請求、示談交渉や労働訴訟の対応は、弁護士に任せられます。
万一の時は、使用者(会社)の責任の有無を含め、今後どうすべきか速やかに弁護士に相談することをおすすめします。
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