【東京】で労災を相談できる相談窓口6選
最終更新日 2025年 04月01日
監修者:弁護士法人みらい総合法律事務所 代表社員 弁護士 谷原誠
監修者:弁護士法人みらい総合法律事務所 代表社員 弁護士 谷原誠
この記事を読むとわかること
労災が起これば、会社が労災手続きを行うことが多いです。
しかし、「会社で取り合ってもらえない」「会社が労災の話を嫌がる」など、会社に労災を相談できないようなケースもあるでしょう。
また、会社の安全配慮義務違反により怪我や死亡事故が発生した場合において、会社に損害倍請求をするには、法的知識が必要です。
こうした場合、相談窓口を利用することで労災に関する疑問や不安が解消される可能性があります。
東京には労災を相談できる窓口が複数あるので、会社に相談が難しい場合は相談窓口の利用を検討してください。
ここでは、東京で労災を相談できる相談窓口を紹介しながら、労災についても解説してきます。
目次
労災と労災保険について
勤務中にケガや病気、障害などを負った場合、労働災害として保険給付を受けられる可能性があります。しかし、日常的に利用する保険給付ではないため、詳しくご存じない方も多いのではないでしょうか。
まずは、労災と労災保険について解説します。
労災とは
労災とは労働災害の略で、労働者が勤務に関することが原因で起こったケガや病気、障害、死亡のことを指します。労災には「業務災害」と「通勤災害」の2種類があります。
業務災害
業務災害は、勤務中に起こったケガや病気、障害、死亡を指します。以下のようなケースでは業務災害が認められます。
- ・機械の誤作動で作業中に手が挟まれてケガを負った
- ・工事現場での作業中に足場が倒壊して負傷し、障害が残った
- ・取引先の会社へ向かう途中、交通事故に巻き込まれた
勤務中であれば全てのケースで業務災害が認められるわけではなく、病気やケガが業務と因果関係があると判断される場合に業務災害が認められます。
そのため、休憩時間に私用で出掛けてケガをした際などには業務災害が認められない可能性があります。
通勤災害
通勤災害は、通勤が原因で起こったケガや病気、障害、死亡を指します。以下のようなケースでは通勤災害が認められます。
- ・会社への出勤途中で交通事故に巻き込まれて負傷した
- ・取引先から直帰している途中でケガを負った
通勤災害に認められるには、通勤経路上での災害や、就業場所から他の就業場所(取引先や他の支店など)への移動経路上での災害であることが条件になります。
通勤経路から外れて買い物や食事などを行なって災害が起こった場合は、通勤災害として認められません。
労災保険とは
労災保険とは、労働災害が認められた時に受けられる保険給付です。労働者を1人でも雇っている事業所には加入義務があり、労災保険の加入対象者は雇用形態に関わらず労災保険の適用事業所で雇用されている全ての人が該当します。
ただし、経営者や役員など法律上で労働者に該当しない役職の人は労災保険へ加入することができません。
労災保険で補償される内容は、以下の通りです。
種類 | 内容 |
---|---|
療養補償給付 | 労災によるケガや病気の治療費、薬代、通院交通費、入院料 |
休業補償給付 | 労災によるケガや病気で仕事ができないときの賃金補償 |
障害補償給付 | 労災によるケガや病気が治療をしても一定の障害が残る際に、障害の程度に応じて受けられる年金または一時金 |
傷病補償年金 | 労災によるケガや病気の治療開始1年6カ月を経過しても治癒しない場合に支払われる年金 |
介護保障給付 | 傷害補償年金や傷病補償年金の受給者で、障害等級・傷病等級が第1級もしくは第2級に該当し、介護を受けているときに支給される給付金 |
遺族補償給付 | 労災で死亡した際に遺族に対して支払われる年金または一時金 |
葬祭料 | 労災で死亡した場合に葬儀を行う者に支払われる一時金 |
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【東京】で労災を相談できる
相談窓口6選
労災について会社に相談できない場合、会社以外の相談窓口に相談することも可能です。
労災の相談窓口にはそれぞれ特徴があり、相談できる内容が異なります。
自分の相談したい内容に合う窓口を選んで相談しましょう。
東京で労災について相談できる相談窓口を紹介します。
労働基準監督署
労働基準監督署は、労働基準法や労働安全衛生法などの労働法令を事業所が守っているかどうかを確認し、監督や指導をする機関です。労働条件の改善や労働者の安全を確保するために設置されています。
そして、労災保険給付の申請窓口でもあるため、労災申請に関する相談をすることができます。
労災保険の適用の可否や、手続きに関する疑問点、給付の内容などについての相談が可能です。
また、会社が労災申請を拒否している場合も労働基準監督署に相談することができます。
労働基準監督署は全国に設置されており、東京には18箇所があります。
管轄の窓口に相談しましょう。
参考:厚生労働省東京労働局「労働基準監督署の管轄地域と所在地一覧」
労働保険相談ダイヤル
労働保険相談ダイヤルは、労災に関する専用の相談窓口です。厚生労働省の労働基準局労災補償部が運営しており、労災保険の使用方法、補償範囲、手続きの方法などについて相談できます。
電話で気軽に相談したいという場合に適しているでしょう。
労災保険の該当の可否も相談することはできますが、労働基準監督署が調査して最終的な判断を行います。
そのため、まずは労災に該当するかどうか電話で聞いてみたいというというケースであれば、労働保険相談ダイヤルに相談してみてもいいかもしれません。
参考:労災保険相談ダイヤル
総合労働相談コーナー
労災など労働問題について相談したいものの、どこに相談すればいいか分からないという場合は総合労働相談コーナーへ相談してみると良いでしょう。総合労働相談コーナーは、労働局や労働基準監督署内に設置されています。
あらゆる労働問題を相談できる窓口なので、労災についての相談も可能です。
ただし、労災保険相談ダイヤルは問題を直接解決する機関ではありません。
そのため、解決するための方法のアドバイスや、労働局・労働基準監督署など適切な相談先を案内してくれます。
社会保険労務士
社会保険労務士は、略して社労士と呼ばれています。社労士は、労働や社会保険に関する法律に基づいた書類の作成を代行する職業です。
労災の手続きについて相談することができ、依頼をすれば労災申請に必要な給付金の請求書の作成を行ってくれます。
労災の手続きの書類関係に関する相談や代行依頼をする場合、社労士が適しているでしょう。
東京には多くの社労士の事務所があるので、料金や実績などを比較しながら相談する社労士事務所を検討しましょう。
法テラス
法テラスは、国が設立した法的トラブルを解決するための相談窓口です。弁護士が相談に乗ってくれるため、法的に問題を解決することを目指せます。
労災を含めた労働問題について相談することもでき、問題解決に向けて弁護士や司法書士を紹介してもらえます。
法テラスでは、弁護士や司法書士に依頼したくてもお金がないという場合には費用の立替などを行なう民事法律扶助を実施しています。
そのため、労災トラブルを弁護士に依頼して解決したいけれど費用を準備できないという場合に適した相談窓口といえます。
ただし、法テラスを利用して弁護士に依頼する場合、担当する弁護士を選ぶことはできません。
必ずしも労災問題に実績のある弁護士を紹介してもらえるわけではないので、注意が必要です。
参考:法テラス
弁護士
労災トラブルを法的に解決したい場合は、弁護士に相談しましょう。弁護士ならば法律の専門家なので、労災問題と同時に会社への損害賠償請求など法律に関する問題を解決するために動くことができます。
また、社労士や司法書士とは異なり、法律に基づいた書類作成だけではなく依頼人の代理人として会社との交渉や、訴訟の際の出廷をすることも可能です。
東京には多くの法律事務所があり、労働問題に精通した弁護士も多いです。
初回の相談は無料の法律事務所も多いため、まずは相談や問い合わせしてみると良いでしょう。
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労災について相談する前に準備すべきこと
東京で労災を相談できる相談窓口を紹介しましたが、相談するのであれば有効なアドバイスや情報を得たいものです。そのためには、相談前にいくつか準備しておくことも大切です。
労災について相談窓口へ相談する前に、以下のことを準備しておきましょう。
状況を整理する
労災に関する相談をする際には、まずは状況について整理することから始めましょう。どのような経緯で労災が起こり、現在はどのような状況なのか、メモなどをしながら状況を整理します。
状況整理が必要な理由は、窓口への相談時間を有効活用するためです。
相談窓口ごとに差はありますが、相談時間が30分や1時間など決められていることが一般的です。
場合によっては有料になっており、相談時間が長くなれば相談料も高くなってしまうこともあります。
状況を整理できていれば、限られた時間内で状況を適切に説明することができ、状況に応じたアドバイスを得られるでしょう。
希望や条件を決めておく
相談する際には、問題をどのように解決したいのかあらかじめ決めておくことが大切です。どのようなことに困っていて、どのように問題を解決したいのか決まっていれば、相談時間が限られていても解決するためのアドバイスや方法を教えてもらいやすくなります。
また、専門家に相談や依頼する際には費用がかかるため、ある程度自分の中で費用を含めて相談先への条件を決めておくべきです。
関係のある書類や証拠を集める
労災に関係のある書類や労災を立証できる証拠を集め、相談の際には持参しましょう。こうした書類や証拠があれば、より具体的に状況を把握しやすく、的確なアドバイスを得られやすくなります。
自分では重要だと思っていない書類であったとしても、専門家から見れば重要な証拠になる場合もあります。
少しでも労災に関係のありそうな書類や証拠は相談時に持参できるように集めて保管しておくことを推奨します。
損害賠償請求についても検討する
労災が起こった場合、労災保険の給付を申請するだけではなく、損害賠償を請求できる場合があります。損害賠償請求の相手は、会社や労災の原因を作った相手などが考えられます。
労災保険の給付は補償範囲が設けられているため、給付だけでは不十分なことが多いです。
労災の申請だけではなく、損害賠償請求についても検討しましょう。
損害賠償請求を行う際には、示談交渉から始まり、交渉で双方が合意しなければ労働審判へと発展し、最後は訴訟で解決を目指す流れになります。
損害賠償請求では法的な知識や交渉術が必要になるため、労働問題に強い弁護士に相談や依頼をすべきでしょう。
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労災について相談する際の注意点
労災について相談窓口へ相談する前の準備について解説しましたが、相談時の注意点があります。注意点についてもあらかじめ理解しておきましょう。
時間制限や相談料に注意する
相談窓口によって異なりますが、時間制限が設けられていることがあります。30分や1時間といった時間制限が多く、時間制限内に状況を説明してアドバイスを得なければなりません。
時間を有効活用するためにも、あらかじめ話したいことはメモなどして準備しておき、要点を話すことが大切です。
また、相談窓口によっては相談料が発生することもあります。
電話相談であれば通話時間によって相談料が変わりますし、面談での相談であれば時間ごとに相談料が設定されているでしょう。
相談料が高額にならないようにするためにも、事前に相談料にも注意して相談内容をまとめておくべきです。
直接問題を解決してくれる
わけではない
相談窓口に相談しても、労災問題を直接解決してもらえるとは限りません。
窓口によっては、別の窓口へ相談するように案内されることもあるでしょう。
また、解決するための手順をアドバイスしてもらうことはできても、書類の作成や提出、交渉などは自分で行動しなければならないケースもあります。
相談窓口によって相談できる内容は異なり、できることも違います。
迅速に労災問題の解決を目指すのであれば、自分の悩みに対して的確なアドバイスをもらえる相談先を選びましょう。
まとめ
東京で労災問題を相談できる窓口は多数あるため、どこに相談すべきか迷ってしまう方も多いかもしれません。しかし、相談窓口の選択肢は多いものの、窓口ごとにできることに限界があります。
会社との直接交渉など代理人として幅広い対応をできる相談先を求める場合は、弁護士への相談・依頼を推奨します。
初回相談が無料の弁護士事務所も多いので、まずは問い合わせて相談することから始めてみてください。
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